高タンパクダイエットのやりすぎで起きること | 適量の科学
Sep 25, 2026「たんぱく質はとにかく多く摂った方がいい」——筋トレをする方の間でよく聞かれる考え方ですが、本当にそうなのでしょうか。第5話では、高タンパクダイエットの適量と、やりすぎた場合に懸念されるリスクを検証します。
この記事でわかること
- 高たんぱく食が腎臓に与える影響についての現時点の科学的理解
- 「高たんぱく」とされる摂取量の目安
- たんぱく質の質(動物性・植物性)による違い
- 適切なたんぱく質摂取量の考え方
目次
- 「たんぱく質は多いほど良い」は本当か
- 健康な人への影響
- 腎機能に不安がある人へのリスク
- たんぱく質の質による違い
- 適切な摂取量の考え方
- まとめ
- よくある質問
「たんぱく質は多いほど良い」は本当か
筋トレ・ダイエットの文脈で「たんぱく質はたくさん摂るべき」と語られることは多いですが、量には適切な範囲があります。現在の研究では、健康な腎機能を持つ人において高たんぱく食が腎臓病を引き起こすという明確なエビデンスはありません。健康な腎臓は、たんぱく質摂取量の増加に対して一時的に濾過量を増やすことで適応できるためです。
健康な人への影響
正常な腎機能を持つ人であれば、高たんぱく食を続けても腎疾患を引き起こすという強いエビデンスは現時点で示されていません。ただし、これは「無制限に摂ってよい」という意味ではなく、体の適応能力の範囲内であるという理解が正確です。
腎機能に不安がある人へのリスク
一方で、もともと腎機能が低下している人(推算糸球体濾過量が60未満など)や、糖尿病・肥満・高血圧などのリスクを持つ人では、過剰な高たんぱく摂取が「糸球体内高血圧」を引き起こし、糸球体の損傷やたんぱく尿につながる可能性が指摘されています。長期的な過剰摂取が慢性腎臓病の新規発症につながる可能性も研究で示唆されています。
たんぱく質の質による違い
観察研究では、動物性たんぱく質の摂取が末期腎不全のリスク増加と関連することが示されています。動物性たんぱく質に偏りすぎず、大豆製品・豆類などの植物性たんぱく質もバランスよく組み合わせることが望ましいと考えられます。
適切な摂取量の考え方
研究上、「高たんぱく」とされる摂取量は体重1kgあたり1.0〜1.2g以上とされ、1.6〜2.0g/kg/日を超える摂取が長期的に継続される場合は「非常に高い」摂取量とみなされます。
| 体重 | 目安となるたんぱく質量(1.2〜1.6g/kg換算) |
|---|---|
| 50kg | 60〜80g |
| 60kg | 72〜96g |
| 70kg | 84〜112g |
体重×1.2〜1.6g程度を目安に、動物性・植物性のたんぱく質をバランスよく摂ることが、多くの方にとって現実的で安全な範囲だといえます。
まとめ
- 健康な人が高たんぱく食を摂ること自体に、明確な腎機能への悪影響を示す強いエビデンスはない
- ただし腎機能に不安がある人は、過剰な高たんぱく摂取にリスクがある
- 動物性たんぱく質に偏りすぎず、植物性たんぱく質とのバランスも意識する
- 目安は体重1kgあたり1.2〜1.6g程度。2.0g/kg/日を超える継続的な摂取は「非常に高い」水準
次回(第6話) は、プラントベース(植物性中心)ダイエットの利点と落とし穴を検証します。
よくある質問
Q. プロテインを飲みすぎると腎臓に悪いですか?
A. 健康な腎機能であれば、通常のプロテイン摂取が直接腎臓病を引き起こすという強いエビデンスはありません。ただし極端な過剰摂取や、もともと腎機能に不安がある場合は注意が必要です。
Q. たんぱく質はどのくらい摂れば筋肉がつきますか?
A. 一般的には体重1kgあたり1.2〜1.6g程度が目安とされています。トレーニング強度や目的によって幅がありますが、極端に多く摂ることが必ずしも効果を高めるわけではありません。
このシリーズの記事
Twin Conditioningとは
「まず小さな一歩から始められる」をコンセプトとした、自宅でできるオンラインジムです。器具不要。体に負担をかけない動き方を軸に、食事・運動・習慣化をトータルでサポートします。続けられる体づくりを、一緒に設計していきます。
※効果には個人差があります。持病・治療中の方は医師にご相談ください。